自律神経失調症の鍼灸治療  高血圧、めまい、不安  ミカルディス、リフレックス服用

今日の患者さんは 「自律神経失調症状 うつ症状(不安感)」 を訴える50代の男性です。

 年末仕事が忙しくなりそのためか血圧が高くなるようになり、
内科を受診して降圧剤のミカルディスを服用するようになった。

そして、年をあけて1月くらいから、うつ症状を自覚するようになったとのこと。

うつ症状が強くなってきたことから、

5月14日頃  メンタルクリニックを受診し抗うつ剤(リフレックス)の服用を開始。

5月23日   症状が改善しないので 当院受診となりました。

・その他の症状

眠りが浅い、食欲がない、めまい(フラット揺れる)、耳閉塞感、眼の疲れ、

咽喉の異物感(梅核気)、動悸、左 腰~大腿部(臀部~足首にかけて)の痛み、不安感など

・内服薬

ミカルディス40mg(降圧剤) リフレックス(抗うつ剤)

・その他
うつ状態になってから、酒、タバコ、パチンコをやめてしまったとのことです。
(興味がなくなったとのこと)

・ミカルディスによる副作用の可能性も考えてみました。

 ミカルディスを服用してからうつ状態になったということで当然疑ってみました。

インタビューフォーム(医薬品の説明書)を確認したところ副作用の項目 0.5%未満で抑うつ症状が診られるということが記載されています。

今回の患者さんの場合もミカルディスの副作用が発現している可能性が大です❗

・東洋医学的にみてみます。

 浅眠、眼の疲れ、大腿部の痺れ(胆経ライン)

 耳、不安

 食欲減退、ふらっとしためまい、梅核気

 動悸

のバランス、または のバランスに乱れがありそうです。

・治療方針として

 発症してまだ半年であること、抗うつ剤を服用して数日しか経過していないことから、医薬品の減量と鍼灸治療を併行していけば早い段階でうつ状態を改善できると考えました。

うつ症状が気になったので週2回のペースで治療することになった。

・治療経過

治療1回目 5月23日

証決定

右 肝虚脾実 

本治法 右 中封、復溜の補法

 あわせて 副作用の疑いのある降圧薬 「ミカルディス」をの減量を医師に考えてもらうように伝えました。

治療2回目 5月26日

不眠は続くものの腰痛はやや改善したということ。
精神的症状に変化はなかったが、腰痛が改善したので証はそのまま治療を続けることにした。

(内服薬)ミカルディスは半分に減量した。

証決定 右 肝虚脾実  
本治法 右 中封、復溜

治療3回目 5月30日

腰痛症状はさらに改善した。足首以下(懸鐘以下)部分の痺れのみ残る。
精神的症状はあまり変化なかった。

証決定 右 肝虚脾実

治療4回目 6月6日 

動悸、咽喉の詰り感(梅核気)変らず、食欲もない、

精神的症状の変化が少ないので証の変更をしました。

証決定 右 脾虚
 
治療 右 太白、大陵(ていしん)

脈が細く硬かったので、大陵から鍉鍼(ていしん)に変えて治療した。

治療5回目 6月10日

治療後から食欲もでており調子がよい。

鍼灸治療 引き続き脾虚にて治療。

治療6回目 6月13日

やる気はそれほど高いわけでないが、不安感 動悸 梅核気ともに軽減した。

血圧は110-90と低いため ミカルディスは中止する予定。

鍼灸治療 脾虚にて治療。

治療8回目 6月22日

うつ症状はなくなった。
動悸、不安感なし、夜はぐっすりと眠れるようになった。

ミカルディス中止したが血圧良好。

鍼灸治療 脾虚にて治療。

抗うつ剤のリフレックスは服用中。

今後は 内服薬離脱に目的を変えて治療を継続している。

・考察

 不安感、咽喉の違和感(梅核気)、動悸を初め うつ症状を鍼灸治療にて改善した症例である。

治療は最初は肝虚で途中から脾虚へ変更しています。

最初の4回は肝虚で治療したところ腰痛症状は改善していたが、精神的な症状の改善は見られなかった。

脾虚で治療したころからうつ症状の改善が見られた。
同時に男性の精神症状のバロメーターでもある朝立ち兆候の改善もあったことから、前半の証決定が良くなかったのかもしれません。しかし、腰痛の改善はあったのではっきりしないところです。

 実は自律神経失調症の原因のうち、医薬品の副作用というのが結構な割合をしめます

今回もミカルディス(降圧剤)の服用を中止することで症状の軽減を図れたとこから、ミカルディスによるうつ症状が発現していた可能性が大きい。💡

一般に医薬品の副作用であること気づかずにそのまま服用を継続しているケースが多く
薬が増えるだけで根本的な問題の解決に至っていない。
 今回の例も血圧は平均 120-80mmHg ということで血圧が高いわけでもなく、もっと早い段階でミカルディスは中止すべきであったと思われます。

今後はリフレックスの減量が課題です。

医師は病名をつけて薬を増やすことばかり考えるのでなく、減量を念頭に治療をすすめてほしい。

そうすれば 「医療費増大は確実に軽減できる」 と思っています。

たまはりきゅう院 院長 田巻

1535

この投稿へのコメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

3 × four =

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL