副作用を消すための薬をのんでいませんか

当院の患者さんの中には薬の副作用を訴えて来院される方も増えています。そういう患者さまには、鍼灸治療に並行して薬を減らすことをお勧めしています。そうすることで症状を和らげることができます。

本来、医薬品は病気を治すものと考えられています。そのため、病院で症状を訴えれば薬が処方されるのですが、一方で使用している薬の副作用が発現しているのに気づかない場合があります。

薬の副作用が出た場合は原因となる薬をやめれば済むことなのですが、その副作用の症状をなくすためにまた別の薬が処方される例が数多く見られます。その結果、症状がたくさんある人ほど、より多くの薬を服用することになるのです。

もちろん、医師が副作用を十分に把握したうえで薬効(薬の効果)の有益性から服薬を継続しているケースもなくはありません。しかしながら、このケースはそれほど多くはありません。

薬の使い方として、お勧めできる方法は、必要最低限の薬を必要な期間のみ服用することです。そして、薬の種類は片手で収まるくらいにすべきでしょう (例外もあります)。

ここで言いたいことは、副作用の原因になっている薬はもちろんのことですが、効果のはっきりしない薬や必要のない薬を飲み続けることは健康を考えるうえでマイナスであるということです。

薬の代わりに鍼灸治療で緩和する方法もあります。

薬を中止したら症状がひどくなってしまうと心配される方もいらっしゃいます。

一般に薬は症状ごとに処方されるため、症状が複数あるとその分薬が増えていきます。一方、鍼灸治療では全身の経絡バランスを調整することで症状の改善を狙います。そのため、薬は減量もしくは飲む必要がなくなっていく場合も多いのです。

薬によっては依存性があるため、やめにくい薬や、すぐにやめてはいけない薬があります。そのような薬の減量については、薬剤師として、やめ方を提案していきますのでご安心ください。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬、睡眠薬などの依存性の強い薬は簡単に服用すべきではありません。欧米では簡単に処方されることはないのですが、日本では簡単に処方されて社会問題にもなっています。当院ではこのような薬の減量についても取り組んでいます。


東洋医学では病気の症状と経絡の変動とが密接にかかわっていると考ています。具体的には五行の色体表には示してあるように、どういう症状がどの経絡の変動であるかは経験的に分類されているのです。つまり経絡の調整をするのが経絡治療ですから、変動した経絡がわかれば症状の改善は見込めるのです。

薬物治療では病気の仕組みは変わらない

西洋医学では出てきた症状に対して薬が処方されます。不安や動悸などには抗うつ剤、イライラには安定剤、眩暈には目まい止め、食欲不振には胃腸薬という具合です。中には悲しみ、倦怠感、性欲減退、難聴、心の病など治療薬のない症状もあります。 西洋医学では対処的な治療が基本であるので病の仕組みは変わりません。基本的に症状を一時的に消して身体が元に戻るのをまっているだけなのです。

鍼灸治療では病を生み出している仕組みにアプローチします。東洋医学では病気の症状は経絡バランスが乱れた結果として表に出てくると考えています。腎経が虚すれば相克関係にある脾経は実となります。そうすると腎経の症状(例えば生殖器の異常)と脾経の症状(胃腸症状)が発現しやすくなります。この場合の治療は虚である腎経を補い(プラス)、相克する脾経を抑える治療をします。必要があれば脾経を直接瀉します(マイナス)。そうすることで双方のバランスが保たれ症状が消失する方向に向かうのです。