耳の症状

来院される患者さまの訴える耳の症状は難聴、耳鳴、耳の響き、耳の閉塞感、耳の痛み、めまいなどがあげられます。

病名としては突発性難聴、耳管開放症、耳管狭窄症、メニエール病、めまい(内耳性)、中耳炎などです。

突発性難聴

突発性難聴とは

突発性難聴

突発性難聴は明らかな原因もなく、あるとき突然に左右片方(ごくまれに両方)の耳が聞こえなくなる急性の感音性難聴です。原因が不明であるため、どのような治療法が最も有効であるかは未だ明らかではありません。

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標準的な突発性難聴の治療方法

病院での治療は主にステロイド(副腎皮質ホルモン)剤とビタミンB12、アデホス(血流改善剤)、イソバイド(利尿剤)による薬物治療ですが、投薬により改善が見られない例も多々あります。特にステロイド剤は身体に与える影響も大きいことからから2週間程度の短期間の投薬に限られます。突発性難聴は治療が早期であるほど改善率が高いと言われています。発症後時間がたってしまうと改善率が低下する傾向にありますので、できるだけ早期に治療をうけていただくことがポイントです。

突発性難聴の症状

□突然、片方の耳の聞こえが悪い

□耳の閉塞感がある

□音が耳の内で反響する

□耳に水が入った感じ

□耳の奥になにか入った感じ

□耳鳴・雑音

□めまい

突発性難聴の原因は不明

突発性難聴はストレス・睡眠不足・血流障害・内耳部分のウイルス感染など、音を感じ取って脳に伝える役割をしている有毛細胞が、なんらかの原因で傷つき、壊れてしまうことで起こると考えられています。

 最近ではスマートフォンなどの携帯音楽機器により長時間、大音量で音を聞き続けると聴覚障害になる可能性があることもわかっています。薬物の副作用による難聴もあるので、服薬中に難聴症状が発現した場合は原因と思われる薬物を中止するなどの処置も必要です。

突発性難聴の鍼灸治療

難聴治療を専門とする病院等、多くの施設で難聴治療に鍼灸治療が利用されています。耳鼻咽喉科の治療で改善が見られない場合や薬物以外の治療法を併用したいと考えている方に、鍼灸治療はお勧めの治療方法です。
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その他の治療法

・高圧酸素療法(HBOT) 
特別な部屋の中で高濃度の酸素を呼吸することで、脳や耳への酸素供給量を増やして症状の改 善を図る治療方法です。難聴や耳鳴の重症度を軽減する目的で使用されます。通常は発症後2 週間以内に実施されます。

・頚部神経ブロック(星状神経節ブロック)
頚部の神経節に局所麻酔薬を注入し、脳血流を改善することで症状の改善を図ります。 難聴や耳鳴の治療に用いられます。

・ステロイド鼓室内注入療法
耳の中にステロイドを注入する方法。 通常のステロイド療法が無効な場合や、糖尿病などの合併症を持つ場合の突発性難聴の治療に使われます。

厚生労働省のホームページ「生活習慣病予防のための健康情報サイト」にも突発性難聴について掲載されています。  詳しくはこちら

耳鳴

耳鳴にも耳に原因がある内耳性の耳鳴と脳に原因がある中枢性の耳鳴があります。

片方だけ耳鳴

片方だけの耳鳴は耳の障害を疑います。 中耳炎や耳管狭窄症など中耳での耳鳴は難聴を伴うこともあります。 さらに、難聴、回転性のめまいを伴うような場合は メニエール病や内耳炎、突発性難聴の可能性があります。

左右両方の耳鳴

左右両方に耳鳴があり、フワフワするような中枢性のめまい、手足の感覚に異常があるような場合は脳に異常がある可能性があります。この場合はまず病院での精密検査を受けましょう。

頭鳴

頭の中でセミがジージーと鳴いているような雑音が聴こえることがあります。これは頭鳴といって脳の興奮で引き起こされている可能性があります。 偏頭痛やパニック障害、うつ症状があると頭鳴症状を伴うことが多いです。

糖尿病などの生活習慣病

高血圧、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に伴って耳鳴がすることもあります。 高血圧では耳の動脈に血液が流れる音を耳鳴と感じる場合もあります。

過度のストレス

ストレス、過労、不規則な生活、栄養不良など生活習慣の乱れで耳鳴が起こることがあります。

大きな音

大きな音を聴いたり、ヘッドフォンを使うことで内耳が障害され耳鳴が起こることがあります。

耳管開放症

耳管開放症とは耳の奥と鼻の奥とをつなぐ管(耳管)が開きっぱなしになる症状です。 耳管が開いているのにかかわらず耳が詰まった感じ(閉塞感)がします。開いた耳管を通って音が中耳へ到達するので、自分の声が大きく聴こえるなどの症状があります。ツバをのみ込んだり耳抜きしても症状は変わりません。めまいや難聴を伴うこともあります。

めまい

めまいの種類

西洋医学的では大きく4つに分類されています。

①回転性のめまい、②浮動性のめまい、③失神性発作 (立ちくらみ)④なんとなくふらつく、歩行 ができないなどです。

めまいの種類

①回転性のめまい

耳にある平衡感覚をになう三半規管に原因があり、内耳性のめまい、末梢性のめまいとも呼ば れます。

②浮動性のめまい

脳幹や小脳に原因があり中枢性のめまいと言われています。この中枢性のめまいは脳に原因があるため、物が二重に見えたり、ものをうまくつかめなくなったり、言葉をしゃべることができなくなったり、手足の感覚がおかしくなったりと別の症状が一緒に起こることが多いです。この場合は早めに治療をしないと障害が残ったり、症状が悪化したりすることがあるため医療機関にて精密検査を受けましょう。

③失神性発作(立ちくらみ)

・立ちくらみは血圧制御の異常 
立ちくらみ現象の多くは血圧制御の異常でおこります。一方で(若い方に多い)、立ち上がった 時に血圧の低下が伴わないにもかかわらず同様の症状を起こす場合があります。血圧が正常な のにかかわらず、めまいを感じるのか、原因はわかっておりません。

・要因はさまざま 
意識消失性失神、起立性調節障害、血管迷走神経反射による失神、起立性低血圧、低血糖による意識消失性失神、てんかん、不整脈など心臓の病気による失神があります。
※神経調節性失神は自律神経の不調により脳内の血流が低下し、目の前が暗くなり、気が付いた時には冷や汗をかいて倒れているというものです。

④なんとなくふらつく

 頭がボーっとして、手の力がはいらなくなる。
 頭がフワッとして気が遠くなる、吸い込まれそうになる
 寝ていて頭と身体が沈んでいく
 眼がくらむ
 眼がチカチカする

 

原因を特定しにくいため、精密検査をしても病名がつけられないこともあります。

めまいの原因

めまいの原因で一番多いのは 良性発作性頭位めまい症という耳(三半規管)からくるものです。 めまいを訴える患者さんのうちほぼ半数の方がこちらに当てはまります。その他にも、めまいの症状が伴う疾患にはメニエール病や前庭神経炎などがあります。耳以外の疾患で低血圧、緊張性頭痛、うつ症状などが原因のめまいもあります。 耳が聴こえない、吐きけなどの症状がなく、じっとしていれば落ち着くめまいであれば内耳性のめまいが多く比較的早期に治ります。

めまいに対する東洋医学的な考え方

回転性のめまいは肝経の変動として、フワフワ、グラグラするめまいは脾経の変動、立ちくらみは、腎経の変動として考えます。  上記は東洋医学での考え方の一例です。東洋医学では病名によらず、症状によって治療方法を考えていきます。そのため、西洋医学で病名がつかない(わからない)場合でも、例外を除き鍼灸治療の対象になります。めまいに関する患者様の声はこちら

めまい

注意したいめまい

嘔吐を伴うような激しいめまい、焦点が合わない、視界がゆがんで見えるなど、まっすぐに歩けない「めまい」は、外科的な処置が必要になる場合もあるため病院でMRIなどの精密な検査を受けましょう。

耳の病気と鍼灸治療

東洋医学の五行の色体表(五官)には経絡と臓器が関連づけられており、耳(めまい)の病は腎経の変動と関わりがあります。

五官の図

たまはりきゅう院では耳症状(難聴、耳鳴、耳閉塞感、耳の響き、耳の痛み、めまい、中耳炎など)の発症した症例に対して、単独および薬物治療と併用する方法で鍼灸治療を実施し症状を軽減または改善してきました。

当院における鍼灸治療の治療目標は体質を改善することによる根本原因の除去です。薬物治療のような対処療法ではありません。
そのため、鍼灸治療で改善できた症状は再発しにくいのが特徴です。
薬物治療により改善が見られない場合や症状を繰り返すような場合は当院の鍼灸治療をお勧めいたします。