突発性難聴、なぜ早期治療が大事なのか

〜西洋医学と鍼灸の使い分け〜


ある朝、起きたら片耳が聞こえにくい。

耳鳴りがする。音が響く。

「昨日、大きな音を聞いたっけ?」「疲れているだけかな?」

そう思って、しばらく様子を見てしまう方がとても多いです。

でも、突発性難聴は**「様子を見る」ことが、最も回復を遠ざける病気**のひとつです。

今日は、突発性難聴の早期治療がなぜ大切なのか、そして西洋医学と鍼灸をどう使い分けるかをお話しします。


突発性難聴とは?

突発性難聴は、ある日突然(多くは片耳に)起こる原因不明の感音性難聴です。

感音性難聴とは、内耳(蝸牛)や聴神経に問題が起きて聞こえにくくなる状態のこと。鼓膜や中耳の問題ではないので、耳垢をとったり、耳抜きをしても改善しません。

伴う症状としては、

  • 耳鳴り(キーン、ザー、ゴーなど)
  • 耳のつまり感・閉塞感
  • 音が割れて聞こえる(補充現象)
  • めまい・吐き気

などがあります。

発症率は10万人に6〜27人ほど。決してまれな病気ではなく、疲労・ストレス・睡眠不足が重なったときに起きやすいとされています。


なぜ「早期治療」が鍵なのか

突発性難聴の回復に関して、医療の世界では「発症から2週間以内の治療開始」が重要とされています。

理由は、内耳の構造にあります。

内耳の蝸牛には「有毛細胞」という音を感じとるための細胞があります。この細胞は、一度ダメージを受けると再生しないのです。

ただし、発症直後であれば——

  • 血流障害によるダメージであれば、血流を改善することで回復できる
  • 炎症が原因であれば、炎症を抑えることで機能が戻る可能性がある

という「回復の窓」が存在します。

この窓は、時間とともに閉じていきます。

1ヶ月、2ヶ月と経過してから治療を始めても、改善が難しくなるのはそのためです。


まず西洋医学で「火を消す」

突発性難聴と診断されたら、まず耳鼻科での治療を最優先にしてください。

標準的な治療はステロイド療法です。炎症を抑え、内耳の血流を改善することで、有毛細胞へのダメージを最小限に食い止めます。

場合によっては、

  • 血流改善薬(循環改善剤)
  • ビタミンB12製剤
  • 高気圧酸素療法

なども併用されます。

ステロイドは「強い薬」というイメージを持つ方もいますが、突発性難聴においては早期に使うことで回復率が大きく変わります。副作用を心配するより、まず「火を消す」ことを優先してください。


鍼灸は「回復力を引き出す」ために

西洋医学での治療を始めながら、並行して鍼灸を受けることをお勧めしています。

鍼灸が突発性難聴に役立つ理由は、主に3つです。

① 内耳の血流を改善する

東洋医学では、難聴・耳鳴りは「腎」の弱りや「気血の滞り」と深く関わると考えます。内耳は非常に細い血管で栄養されており、血流障害が起きやすい場所。鍼灸によって全身の気血の巡りを整え、内耳への血流を促します。

② 自律神経を整える

突発性難聴の多くは、過労・ストレス・睡眠不足をきっかけに発症します。これらはすべて自律神経の乱れと関わっています。鍼灸は副交感神経を優位にし、身体が「回復モード」に入りやすい状態をつくります。

③ ステロイドの副作用を和らげる

ステロイド服用中に起きやすい胃の不快感や睡眠の乱れに対して、鍼灸でフォローすることができます。治療を続けやすくする、という意味でも大切な役割です。


「もう少し様子を見よう」が一番危ない

当院に来られる耳のトラブルの患者さんで、よく聞く言葉があります。

「最初は疲れかと思って、1ヶ月ほど放置してしまいました」

「耳鼻科に行ったのが遅くなって、ステロイドの効きが悪かったと言われました」

突発性難聴は、自然に治ることもありますが、放置すると回復しないこともあります

発症したその日、または翌日には耳鼻科を受診する。それだけで、回復できる確率がぐっと高まります。


まとめ

 役割タイミング
耳鼻科(西洋医学)炎症を抑える・血流を改善する発症直後〜できるだけ早く
鍼灸回復力を引き出す・自律神経を整える耳鼻科治療と並行して

突発性難聴は、「気づいたらすぐ動く」ことが何より大切な病気です。

耳に違和感を感じたら、まず耳鼻科へ。そして鍼灸でしっかり回復をサポートしましょう。

当院では難聴・耳鳴り・めまいの鍼灸治療を専門に行っています。耳鼻科での治療中の方、治療が一段落した方も、どうぞお気軽にご相談ください。


たまはりきゅう院 院長 田巻和洋

(浦和駅東口4分) TEL: 048-883-6538

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