めまい、自律神経失調の症例報告
自律神経失調症を訴える33歳の男性の患者さんです。
主訴は めまいと焦燥感。
補足として めまいは揺れと回転性のめまいとがあるとのこと。
ここ1ヶ月間 職場で緊張すると焦燥感に伴いめまい(ゆれる)が出るとのこと。
いわゆるパニック発作と言われる症状の一つです。
抗うつ剤などの薬を飲むのに抵抗があるので飲んでいないとのことです。
その他の症状とあわせて分類してみます。
回転性のめまい、眠りが浅い、大腿部の右外側の痛み(坐骨神経痛)→肝
手足の冷え、立ちくらみ、耳鳴り(キーンと高い音)、肩甲骨内側の痛み、焦燥感(不安)→腎
ゆれる、疲れやすい、便秘と下痢を繰り返す→脾
東洋医学的な診断・証の決定
症状の分類から大きく二つのバランスが崩れている可能性が見えてきます。
①腎と脾のバランス
②肝と脾のバランス
・1回目 1月9日
腎虚証にて治療 本治法 眩暈を伴うので右側の復溜、尺沢を補法
以降 週1回のペースで治療をしていくことにしました。
・2回目 1月16日
前回治療後 数日は肩甲骨内側の痛みが軽減していた。
眩暈、右大腿部の痛みは変らないとのこと。
治療 腎虚証にて同様に処置
・3回目 1月23日
前回治療後 とあまり大差ない。
緊張すると眩暈が出現する。
治療方針を肝虚へ変更
回転性の眩暈があること 右大腿部の胆経ラインに症状があること
治療 本治法として 左 曲泉 陰谷 補法
・4回目 1月30日
前回治療後 背中の痛みの軽減とともに 眩暈も減少した。
耳鳴りは変らず。
治療は前回と同様 肝虚にて処置。
・5回目 2月6日
前回治療後 調子よく、耳鳴りも消失し、眩暈、背部痛ともに消失している。
㊨大腿部の胆経ラインの痛みは不変だった。
治療 肝虚証 で兪土原穴 太衝 太谿に変更して補法。
以降は月に2回のペースで治療。
・6回目 2月20日
前回治療後 大腿部の痛み軽減。眩暈もほとんどない。
治療 肝虚証で 太衝、太谿を補法。
・7回目以降
肝虚証 のまま 後半 適応側を㊨に変えたりもする。
11回の治療で症状がほぼ消失した。
考察
今回も自律神経失調症を訴えた患者の報告である。
肩甲骨の内側のこり(膏肓付近)は
自律神経症状で心因的要素のある人に共通する症状のひとつである。
経験的に抗不安薬を飲んでいるとこの膏肓付近の症状が強くでたり持続する傾向にある。
症状は多少異なるが11回と比較的短期間でほぼ症状を改善することができた。
これは抗不安剤等の医薬品の服用が皆無であったことと
こちらの指示通り治療を受けたことによるものでしょう。
自律神経失調かなと思ったら薬を服用する前に鍼灸治療をしてほしい
そのほうがそれほど苦労せずに元の状態に戻すことができます。
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